鴻興教室

GDC鋳造豆知識
 

押し湯の役割:

ALは、液体から個体に凝固するときに,67%収縮する。押し湯の目的は、この凝固収縮に対して供給する溶湯を貯蔵し、収縮する箇所に補給することである。補給目的の為、押し湯の凝固は最後である必要があり、高温状態を保つため金型鋳造では押し湯を指向性凝固がとれる大きさにし、その押し湯が早く固まらないように押し湯の周りを保温性を増すような型構造の必要がある。但し、必要以上大きくしてはならない。押し湯は凝固欠陥を除去するのが最大の目的であり、それ以外は金型の温度保持としても役割を持っている。大きすぎると押し湯の凝固が遅く、金型開閉(キュアータイム)を時間を長くしないと、製品取り出し時に、押し湯が折れたり、崩れたりするため、結果的に鋳造サイクルタイムが伸びて、生産効率を下げてしまう。更に多くのALを使用することにいより、方案歩留りを悪くし、製品コストにも大きく影響してくる。

GDC製法の押し湯の形の考え方としては、定置、回転鋳造のいずれにしても、鋳造最終姿勢(容湯が入り終わってALが固まっていく過程)の時に、重力方向に効くような押し湯の形にすること。

指向性凝固 :

一般的に鋳物を全体的に同時期に凝固させることよりも、一定方向に順次凝固させたいことが多くあります。この後者の凝固形態を指向性凝固といいます。金属溶湯は凝固する時に体積収縮、凝固収縮が発生します。そのため、鋳物を外周部から冷却入れ子や、冷やし金等で凝固させると、鋳物の中心部などは凝固収縮による溶湯不足で引け巣などの鋳造欠陥が発生しやすくなります。これを防止するために凝固形態を指向性にする方法があり、その具体的な方法として、指向性凝固を実現させるためには、最初に凝固させたい押し湯側とは逆の部分の金型温度を下げるために、冷却(冷却入子)を用いて冷却を早くし、押し湯部分に向かって徐々に凝固が進行するようにします。このとき、鋳物の断面や鋳型の熱伝導、又湯流れを工夫したり、押し湯部分を保温したりします。そして、押し湯部分が最後に固まり、そこに引け巣などの鋳造欠陥が集中するようにし、健全な鋳物製品を作ります。

 

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